1988年、万年筆収集家のダンテ・デル・ベッキオとルイージ・ポリによって、イタリア・フィレンツェで設立された筆記具メーカー。15世紀に建てられた邸宅を拠点とし、1920〜50年代の「万年筆の黄金時代」を現代に再興することを掲げて創業した。単に往時のデザインを復刻するのではなく、現代では使われなくなったセルロイドなどの古い素材の研究・生産や、手仕事の製法の再現に取り組む一方で、独自の吸入機構やニブ素材といった新技術の開発も並行して進めている点に特徴がある。
| 創業 | 1988年 |
|---|---|
| 創業者 | ダンテ・デル・ベッキオ、ルイージ・ポリ |
| 拠点 | イタリア・フィレンツェ(15世紀建造の邸宅) |
| 代表的なニブ | 23Kパラジウム「ドリームタッチ」/スチール/コンビネーション |
| 代表的な吸入機構 | パワーフィラー(カートリッジ6本分相当) |
| 識別しやすい意匠 | ポンテ・ヴェッキオ橋をモチーフとしたアーチ型クリップ |
| ドリームタッチ・ニブ | ほぼ純粋なパラジウム。純金の2〜3倍柔軟とされる |
| 「23K」表記 | パラジウムは本来カラット表示の対象外。金の純度表示に準えた同社独自の表現 |
| 独自素材 | エトナ山の玄武岩溶岩を50%配合した特許素材(ホモ・サピエンス) |
上位モデルに搭載される23Kパラジウム製のニブは「ドリームタッチ(Dreamtouch)」と呼ばれ、金ニブより軟らかい書き味と、筆圧によって線幅が変化する特性を持つ。パラジウムを主素材にニブを量産する例は他ブランドではほとんど見られず、ヴィスコンティを特徴づける要素になっている。エントリー〜スタンダード帯ではスチールニブや、スチールに金の要素を組み合わせたコンビネーションニブも展開される。
胴軸側面の三日月状のリングを操作してインクを吸入する独自方式。カートリッジ6本分に相当する容量を一度に吸入できるとされ、大量筆記を想定した設計になっている。モデルによってはカートリッジ/コンバーター両用方式や、その他の吸入方式が採用される。
ねじ込み式でも嵌合式でもない、独自の「フックセーフロック」を一部モデルに採用する。少ない回転でキャップを確実に固定できる機構で、モデルによってはマグネット式のロックが用いられることもある。
多くのモデルに共通するアーチ型のペンクリップは、フィレンツェのアルノ川に架かるポンテ・ヴェッキオ橋をモチーフとしたもので、人と人とをつなぐ「出会い」を象徴するとされる。ブランドを外観から識別する目印になっている。
2002年5月のNATO・ロシア首脳会議において、冷戦の終結を示す署名の際に採用された。2005年には欧州憲法の署名者25名に贈呈され、2009年7月にイタリア・ラクイラで開催されたG8サミットでも署名用のペンとして使用された。
ドリームタッチ(Dreamtouch™)ニブの「23K」という表記は、金の純度表示とは別物である。<br>同社の公式プレスリリースは、このニブについて「the palladium is virtually pure」「virtually no alloy」——<strong>ほぼ純粋なパラジウムで、合金がほとんど含まれない</strong>と説明している。パラジウムは本来カラット(K)で純度を表す慣行の対象外の金属だが、ヴィスコンティはほぼ純パラジウムであることを、<strong>金のカラット表示に準えて「23K」と表現している</strong>。法定・工業規格上の純度単位ではない点に注意が必要である。<br>同リリースはまた、このニブが「純金の2〜3倍柔軟」だとしている。正確な合金比率は公表されていない。
公式の素材紹介ページによれば、ヴィスコンティは筆記具業界で初めて「ラーヴァ(lava、火山岩・玄武岩溶岩)」を素材として導入した企業で、<strong>玄武岩溶岩と樹脂を組み合わせた特許取得済みの配合</strong>を独自に開発している。公式プレスリリースでは、シチリア島エトナ山産の溶岩を<strong>50%配合</strong>した「ホモ・サピエンス」について、わずかに吸湿性を持つとも説明されている。<br>同社は大理石・アクリル樹脂・エボナイト・チタン等にも触れているが、これらは同業他社でも一般的な素材であり、「自社で研究・復活させた」と明確に主張しているのは溶岩配合素材のみである。
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